【概要】
2019/3/15(金)は、雲の予報が実際から大きくずれた。予報では関東全域で積雲が発達し、オーバーデベロップで日射が遮られるとしていたが、実際には一部で積雲が発生したもののオーバーデベロップには至らなかった。
実際には房総沖にあった湿域が、関東上空にまで広がると予測していたことが、雲の予報がずれた原因の一つになっていた。

【予報と実際の比較】
予報では東と南からの湿った海風の侵入によって12時頃から積雲が発生し始め、14時には埼玉東部〜栃木で積雲の過剰発達が予測されていた。実際のhimawari画像を見ると、関東平野西側では雲はなく、茨城東部と千葉では東風に伴うまばらな積雲が見られるものの、オーバーデベロップには至っていない。全体として、実際の積雲発生は予報よりもかなり少ない。
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【予報ずれの原因】
関東東部の舘野(筑波)、南部の東京、北部の熊谷で温度を比較すると、地上気温は予報と実測値が一致しているのに対して露点温度は予報の方が高い(湿っている)。従って、予報が積雲生成を過剰に予測したのは、地上付近の湿度を高めに予測していたことが原因だと分かる。
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地上湿度を高めに予測していた原因をみるために、SkySightと実測値の間で舘野(つくば)での9:00JST Skew-Tプロットを比較する。気温は綺麗に一致しているが、露点温度はSkySIght予測値の方が高い。特に850hPa(1,500m)付近には気温と露点が等しい湿度100%に近い湿った空気層が予測されている。
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同じ時刻の850hPa高層天気図を見ると、房総沖に湿域がありhimawari画像でも雲が観察されている。実際には房総沖にあった湿域が関東上空にまで広がると予測していたことが、雲予測がずれた原因になっている。
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SkySightもBlipmapも、全球での数値解析モデルGFSの日本付近データをベースに詳細解析をすることで、ソアリング気象予測をしている。ベースになっているGFSで850hPa断面での相対湿度を見ると、高湿度領域が房総沖から関東東部にまで広がっている。実際よりも湿域を広く予測していたGFSをベースにSkySight予測を行なっていたために、SkySIghtが積雲発生を過剰に見積もったのだと考えられる。

 
GFSの湿域予測がずれた理由は不明だが、図を見る限りほんの少しのずれに見える。GFSは米国NCEPの予報モデルであり、日本付近の詳細観測データは反映されていない。少なくとも気象庁の天気予報よりは精度は低いはずである。SkySightもBlipmapも、そもそもベースデータの信頼性が気象庁の天気予報より数段劣ることは頭に入れておいた方が良い。


【まとめ】
2019/3/15にSkySightが積雲発生を過剰に予測したのは、ベースとなるGFSが湿域の広がりを過大に評価していたことが原因の一つになっている。
SkySight,Blipmapの信頼性がGFSに依存していることは頭に入れておく必要がある。