カテゴリ: Discussion

12/8(日)は、上空700hPa面の気温が昨年同時期よりも7℃高かった。
このため予報がサーマルトップ2,500ft程度だったのに対し、実際には板倉を離陸した機体が6,000ft以上まで上昇し、良い方向に予報が外れた。
予報が外れた原因は
 (1) 風が予報よりも西よりになり、コンバージェンスの位置がずれた
 (2) サーマルトップ予報に、コンバージェンスの効果が反映されない
の2点だと思われる。
(2)については、10,000ftまで上がれる冬場の強いコンバージェンスで、サーマルトップ予報が実際よりも低く出ることが、昨年冬何度か経験されている。

SkySightやBlipmap予報ではトップ2,000-2,500ft程度と予報されていたが、実際には板倉を離陸した機体は板倉付近で3,500ft、北側では6,500ftまで上昇している。一方、同じ時間帯に小山を離陸した機体は2,000ft程度までだったので、場所によって条件が違っていたことがわかる。
1208

height2



気圧配置としては西からの高気圧が張り出して西高東低が崩れ始めている状況で、大局的には北西風が支配的だった。関東地方は南風が支配的で、南風と北西風の境目のコンバージェンスが妻沼の西と宇都宮の東に発生すると予想されていた。これに対してアメダス観測結果を見ると、南風と北西風の境界が群馬-栃木県境付近にあり、予報よりも東側になっていたことがわかる。
風がずれたことに伴って、コンバージェンスの発生位置も東にずれ、板倉上空にコンバージェンスが発生したのだと考えられる。

wind2

SkySightの鉛直速度断面図では、コンバージェンス内での上昇風上限が6,000ftと予報されており、実際の上昇限度高度と一致する。
鉛直速度断面図は元々ウェーブ解析用だが、コンバージェンスの上昇限度と一致することが多い。ウェーブ断面図をコンバージェンスでの高度予測に使えるのかどうかは、もう少し検証が必要。
convergenc3

関東地方が東風に覆われた一日。
予報としては
  • top 4,000ft
  • 関東東側でトップが低い
  • 15:00-16:00にサーマルが終わる
だったが、フライトログを見ると
 ○:top 4,500ft
 ×:筑波、妻沼、関宿とtopは4,000-4,500ftで大きな違いはない
 ○:板倉付近では15:20頃サーマルが弱くなっている
だった

アメダスデータからは、東風の流入エリアを読み取ることはできないが、フライトログを見るとほぼ無風の時間帯は上がっているが、サーマリングが北西方向にドリフト(南東風)し始める時刻と上がりが悪くなっている時刻がほぼ一致しているので、海風流入によってサーマルが終わっていたのだと考えられる。

 プレゼンテーション1

スクリーンショット 2019-08-25 16.24.36

前線を伴う発達した低気圧が東海上に抜け、西寄りの風が強まっていった。
予報では10時ごろから西風強風だったが、実際の吹き出しはもう少し遅く、妻沼で12:00頃だった。西風は利根川付近を吹き抜けた形で、強風域の周辺にはコンバージェンスが発生していたと考えられる(強風域が入り組んでいるので、予報図の上でわかりやすいコンバージェンスラインは見られないが、強風域周囲にはコンバージェンスのプラスエリアが広がっている)
JA58HDが飛んでいた時間帯は、SkySight予報では条件の悪いエリアが大きく広がっている。このエリアは中層雲のエリアと対応しており、中層雲で日射が遮られる影響を予報されていた。
実際にも中層雲は見られたが、日射を遮るほどではなかった。
 fig1
fig3

那須〜男体山にかけて4m/s程度の南東風が吹き付け、南東斜面でリッジおよびコンバージェンスが予想されていた。サーマルトップの高い領域はsurface heatingよりもコンバージェンスとの相関が強い。

男体山〜氏家が約40kmなので、風下になることを考えるとエンジン無しのスタンダード機で同じことをするのはマージンが少なすぎか。


0530
 

前日よりもさらに上空の気温が上がり、09:00JST館野850hPaは18℃。
前日同様南の方がトップが高く、 妻沼1,900ft、関宿2,700ft。予報はSkySigt, Blipmapともに3,500ft程度だった。

SkySight,BlipmapともSurface heatingとThermal heightの間に強い相関がある。
BlipmapではSurface heatingが高い領域は東京都心部、宇都宮の他、板倉〜妻沼付近では佐野、館林、足利、桐生、太田の各市街地であり、対応する場所でHcritが高くなっている。SkySightのSurface heatingでは宇都宮、太田、前橋の大きな都市部だけが見えている。SkySightの方が粗い地表植生データを使っているのか、可視化段階で空間的に粗視化しているのかは不明。

地表植生がSurface heatingおよびthermal heigtに影響を及ぼし、かつ地表植生データがBlipmapとSkySightで違うことが明らかになった。





 0526

↑このページのトップヘ